私自身、支援の事をたくさん書いてきたブログ(かおる亭)が書けなくなっているのにはわけがある。
それに触れるのも苦しいので、ここしばらく自分にふたをしてきた。
それは震災から1年だった3月11日がピークで、こうして言葉にするのも本当はしんどい。
テレビを見れば吐き気と頭痛。しばらく日本にいたくないと思ったほど。
生活支援のために、宮城県の上も下も車で走り回ったけれど、
足の向かなかった場所がある。
それは、震災前からなじみの場所だった海岸沿い。
松島や野蒜(のびる)、荒浜、七ヶ浜など。
特に松島や野蒜を見る勇気は私にはまだない。
あの美しい野蒜海岸。静かで穏やかで、心の重さ、苦しさを全部引き受けてくれた海。
人づてに「あの海岸線も、下の道路もなくなっちゃったんですよ」と聞き、絶句した。
実際に被災した方々から、よくこういう言葉を聞いた。
「恐くてもとの家を見られない」
「まだ実家に足を向けられない」
私の家は仙台の西。内陸部の山にある。
ただ単に地震が来て、電気水道ガスが止まり、ガソリンが手に入らず動けなかっただけ。
ただそれだけ。
支援活動(この言葉好きじゃないけど便宜上使う)で走り回ったという意味ではまた違う立場だったかもしれないけど、直接大きな被害を受けたわけではない。
それであっても、震災関連の番組は今も見られないし、吐き気頭痛に襲われるし、松島にも行けない。
支援しに行った場所は、「震災前」を知らない場所ばかりだった。
私にとって、破壊されたその光景が「その場所」。
もしもとの姿を知っていたら、ああして簡単に足を向けられただろうかと思う。
私でさえ、心の中に言いようのない重いものを抱え続けている。
考えるだけで苦しい。
「がんばろう、東北」ならわかる。
でも「がんばれ、東北」と言われると、ん??と思う。
人ごとか~、と。つきはなされた気分になるのは私がへそまがりだから?
昨日は5月15日で、沖縄返還40年の日だった。
沖縄問題だって、原発問題だって、所詮人ごとなんだろうか。自分を含め。
1年も過ぎて、震災の話しはもういい加減にしてよ、という声があるのも本当のこと。
思い出したくないというより、うんざりという人も多いのは仕方がない。
でもそういう中、もう被災者から脱して普通に戻れば?というニュアンスが含まれる事もあり、
その言葉やニュアンスは、心に突き刺さることは容易に想像できる。
だけどよく考えてほしい。
それまで、ごくごく普通に生活していて、家には家族がいて、
座布団も、衣装ケースも、食品、茶碗、新聞のちらし、ボールペン、そういう日常があったのに、いきなりそれを失くし、しかもただ失っただけではなく、ぐちゃぐちゃになってしまったことを。
そんな事を経験して、たった1年で被災者をやめろと、本当に言えるだろうか。
物は単なる物ではない。時間も思い出も、かけがえのない人生の積み重ねなのだ。
自分にふりかかった災難だから自分で乗り越えるしかない、、、確かにそう。
誰かに頼るといっても、そんなことをいつまでも続けるな、と。そういうことだろう。
だけどそんなこと、言われなくてもわかっているはず。
助ける方はいい気分になれるけど、助けてもらう方は苦しいのだから。
頼らなければならないつらさ。
助けられるより助ける側に回りたい。こう思うのが人の道のはず。
私も、たかが電気や水道が止まっただけだけど、大変だった。つらかった。
毎日泣いていた。
でも多くの友人たちの助けのおかげで、今度は応援する側に立てた。
中嶋さんの記事にもあるように、
生きるための食べ物ではなく、生きるための音楽、勉強、という時期になってきている。
それでもまだ家の事情が整わず、踏み出せない人が大勢いることを、忘れないでいたい。
音楽に戻りたい人たちにとって、電子ピアノが決してぜいたく品ではないことを、
ここを読んでくれる方々は知っていると信じたい。
こういう事を書くと「世界には食べ物に飢えている人がたくさんいるのに」と、
飢餓状態と比較する人がよくいるけど、そんな事ここでは言わないでね。
食べ物は体、音楽は精神。別のものだから。体だけで生きていける人なんていないでしょ。
支援が人のためにならない、自立を促すべき等の小難しい理屈も遠慮したい。
支援の事を改めて書くのは大変につらいです。
心の奥底にある痛いものをひっぱりだして書かなきゃならないからです。
私自身、できることなら震災の話しはしたくない。苦しいです。
だけど自分が苦しいからと、見て見ぬフリなんてしません。
そんな事のために生きているわけではないからです。
自分と同様、他人の幸せも一緒に考えるのが私の生き方です。
たまにしか書きませんが、ずっと楽器支援、生活支援を続けています。
どうか支援金という形でみなさんのご協力をお願いします。
6万円台の電子ピアノを、被災した楽器店から必要な方々に送っています。
件名に「楽器支援」と書き、kabo518@jcom.home.ne.jp にご連絡ください。
音楽は生きる力です。それを知っているからこそのお願いです。どうかよろしくお願いします。